ビジネスローンと銀行融資の違いは?使い分けの方法や注意点を紹介
資金調達方法としてまずイメージするのが銀行融資ですが、実はそれ以外にも「ビジネスローン」という方法があります。ビジネス「ローン」なので、融資と同じでは?と思われるかもしれませんが、銀行融資とビジネスローンは似て非なるものです。
今回はビジネスローンと銀行融資の違いについて知っていただき、それぞれの使い分けや注意点について解説します。
みなさまの資金需要の金額やタイミングによって適宜両者を使い分けていただければと存じます。それではビジネスローンと銀行融資について解説していきます。
ビジネスローンと銀行融資の違い
ビジネスローンと銀行融資はどのような違いがあるのでしょうか?ビジネスローンは我々になじみがある銀行融資とは異なるものなのでしょうか?両者の違いについてしっかり理解しておきましょう。
金融機関
ビジネスローンを行うのはノンバンク(消費者金融)になります。貸金業法によって営業許可を得ている事業者です。一部、銀行、あるいは銀行の子会社の貸金業者が行っている古都もありますが、基本はノンバンクの事業者向け融資になります。
一方銀行融資はその名の通り銀行法に規定される銀行です。また、信用金庫や政府系金融機関である日本政策金融公庫、農協などの融資も、ノンバンク(消費者金融)の融資ではないということで銀行融資にカテゴライズされることもあります。
融資限度額
ビジネスローンの融資限度額な約1000万円であり、かなり低い上限になっています。年収何億円の会社もビジネスローンの融資限度額は1000万円です。
一方銀行融資は上限がありません。大企業で返済できるならば数億円、数十億円の融資も可能です。各事業者の売上、既存の借入、返済能力などを勘案し、信用情報も考慮して融資限度額が決定されます。
金利
ビジネスローンの金利は、利息制限法上限付近(15%~20%)のものが多く、実質的には消費者金融からの借入利率と変わりません。かなり高いのが事実です。
銀行融資の場合は、金利が1%を切るものから10%を超え、利息制限法の上限までさまざまです。利息制限法の範囲内であれば、それぞれの融資メニューによって差があります。優良企業の借入ならば当然金利は低くなります。
審査時間
ビジネスローンの大きなメリットです。審査時間は短く、数日で資金化できます。「即日融資」を謳っているビジネスローンもあります。条件が合えば、朝申し込みをしてその日中に融資が実行される可能性もあります。
銀行融資の審査時間は半月(2週間)~1か月程度かかります。以前から取り引きがある「お得意様」の場合、数日短縮されることもありますが、基本的には、資金が必要になって数日以内の資金調達はできないとご理解ください。
審査難易度
ビジネスローンの方が銀行融資よりも易しいと一般的には言われます。ただし、ビジネスローンの会社が甘い審査をしているわけではなく、審査の仕組みが違います。
銀行融資の場合は、売上、決算書(財務諸表)、既存の借入、信用情報、代表者の人となりなどを総合的に審査しますが、ビジネスローンの場合は「スコアリングシステム」を用いて審査します。
スコアリングシステムは統計的データを用いた信用スコアによる審査になります。
銀行融資の審査のように、時間をかけて厳密な審査をするのではなく、同じような規模の会社の実績や、各種指標をポイント化して、その合計点が一定基準を超えれば審査を機械的に通過します。
この方法により、審査にかかる時間は従来の融資よりも短縮できますが、利息が高い傾向にあります。
担保・保証人
ビジネスローンは無担保無保証人の融資です。だから数日内で迅速な融資実行が可能になります。
銀行融資の場合は、無担保無保証人の「プロパー融資」、信用保証協会の保証付き融資、担保や保証人のある融資などさまざまです。
担保や保証人が付かない融資の方が、審査に通りやすくなりますが、当然、担保を取られたり、保証人との関係が崩壊してしまうなどのリスクがあります。
契約・返済
契約方法と返済方法は、基本的にビジネスローンも銀行融資も同じです。
ただし、銀行融資の場合は、通常の「証書貸付」の他に「手形貸付」「手形割引」「当座貸越」という特別な方法があります。
ビジネスローンにはそのような方法はありません。
返済は毎月決まった日に返済します。「元利均等返済」と「元金均等返済」を選べます。ビジネスローンもこの2つが基本ですが、カードローンやカード払いのように「リボ払い」が選べるところもあります。当然ですが、リボ払いになれば、かなり多額の金利(利息)を支払うことになります。
ビジネスローンのほうが銀行融資よりも融通が利くが、支払金利が多額になる、というのが基本的な違いです。
ビジネスローンと銀行融資の使い分け
ビジネスローンと銀行融資はしっかり使い分けすることが必要です。特にビジネスローンについては使い方を間違えると今後の企業経営にマイナスになる可能性があります。
ビジネスローンが向いている場合
ビジネスローンが向いているのは、数日以内に最大1000万円までの資金、特に運転資金を資金調達しなければならなくなった場合です。通常の銀行融資では1000万円までの資金を数日内に用意できません。最短でも半月かかる銀行融資では間に合わない場合、ビジネスローンを「奥の手」として使えます。
ビジネスローンも融資の1つなので、利用するときには「信用情報照会」がありますし、ビジネスローンを利用すると利用歴が信用情報に記載されます。
ビジネスローンはノンバンク(消費者金融)の融資なので「消費者金融利用歴」が信用情報に記載されてしまいます。消費者金融利用歴がある人は、以後の融資の信用情報紹介でそれがわかります。
当然、「消費者金融から借りた人」という評価になるため、以後の融資審査の際にはマイナス点が付きます。
そのことを踏まえると、本当にビジネスローンを使わないと資金調達に間に合わない、これを借りないと会社が倒産するなどの場合の「最期の手段」にしてください。ビジネスローンはあくまで融資の「奥の手」であり、使いすぎは副作用が大きすぎます。
銀行融資が向いている場合
ビジネスローンを使わなければならない場合以外は銀行融資で構いません。ある程度資金調達が必要な場面までに時間があり、半月~1か月程度審査時間がかかっても問題ない場合は、通常の銀行融資で構いません。
銀行融資も信用情報に記載されます。借りすぎはよくないのですが、ビジネスローンのように大幅なマイナス点が付くということはありません。
銀行融資もビジネスローンも使いたくないという場合は、それ以外の資金調達方法、ファクタリングやクラウドファンディング、ベンチャーキャピタルなども合わせて選択肢に入れてみてください。
ビジネスローンは総量規制の対象外
ビジネスローンはノンバンク、消費者金融の融資です。消費者金融からの融資と聞くと、年収の1分の1までしか借りられない「総量規制」が思い浮かぶかもしれません。
しかし、ビジネスローンはその総量規制の対象外です。総量規制が設けられたのは、個人がカードローンなどで借りすぎになり、返済地獄に陥ってしまうことを防ぐためです。個人の消費者金融からの借入は、プライベート資金であり、給料などから返せないほど借りてしまうことが多いのです。
しかし、ビジネスローンは事業用資金であり、プライベート資金のように過度に使い込むリスクも低く、この総量規制の対象外になっています。
年間売上が2000万円の事業者の場合、700万円弱までしか借りられないということはありません。
しかし、上述のようにビジネスローンは融資限度額上限が約1000万円となっているため、事業規模によっては総量規制(年収の3分の1)よりも借りられないこともあります。
制度として総量規制の対象外になりますが、事業規模によっては総量規制よりも借りられない可能性があります。年収3300万円であれば、総量規制があれば1100万円まで借りられますが、ビジネスローンは1000万円が上限です。
そのあたりも知っていただき、ビジネスローンはあくまで緊急時に1000万円まで比較的通りやすい融資だとご認識ください。
まとめ:資金調達は自社の目的にあった方法で
今回紹介したビジネスローンは銀行融資と比較すると、かなり「癖」がある資金調達方法です。大前提として、信用情報に「消費者金融からの借入」と記載されるビジネスローンは、以後の事業運営にプラスになりません。
しかし、数日で現金化できる方法であり、「数日以内に最大1000万円まで資金調達しないと会社が倒産する」レベルの危機には、最後の手段として活用できます。
逆にそれ以外のケースでビジネスローンを利用するのは、副作用が大きくおすすめできません。
銀行融資で時間がかかるなら、ファクタリングなどの方法も活用すべきです。奥の手としてビジネスローンを知っておくのは良いのですが、恒常的な利用はその金利の高さも相まってリスクが大きいです。
そうではなく、銀行融資、ビジネスローンに加えて、ファクタリングやクラウドファンディング、補助金など多数の資金調達の選択肢を知っておくことが自社の経営に役立ちます。
資金調達は自社の目的に合った方法で行いましょう。巨額の設備資金であれば、銀行融資よりもクラウドファンディングや補助金の方が良いかもしれません。返済義務もありません。
資金調達は銀行融資やビジネスローンだけではないことを理解し、適時適切な選択をしてください。
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