中小企業の資金調達方法は?課題と成功のポイントも解説

中小企業は大企業と比べて資金繰りに難儀することが多く、単に融資を受けようとしても審査に通らない可能性があります。
融資以外の資金調達方法についても、多様な選択肢を確保しておく必要があります。
今回は中小企業の資金調達について紹介し、その課題や資金調達を成功させるポイントについて解説していきます。
中小企業における資金調達の課題
まず中小企業が抱える資金調達の課題について押さえておきます。課題が少なければ融資に頼ればいいのですが、実際にはそのようには行きません。
中小企業が金融機関が融資する際の「社会的信用」が低いので資金調達に難儀します。誰でも知っている大企業の信用と中小企業の信用には差があります。どのような会社かよくわからないところに融資できません。
もちろん、融資なので、信用情報照会を行い、過去の借入や返済振りに問題がないことが条件ですが、それだけでは判断しません。
さまざまな条件を考慮すると、大企業に比べて中小企業は不利になります。中小企業が資金調達を必要とする中で、大企業と比較すると、安定性や信用力を提示するのは難しい状況にあります。「自転車操業」的な資金調達が必要な中小企業も多く、そうした会社にすぐに融資するのは、金融機関としてもリスクになります。
また、中小企業の場合、融資の担保となる不動産や設備を持っていないことも多く、かといって「プロパー融資」を行うには業況がよくないということがあります。
担保型の融資を受けるのも、プロパー融資を行うのも現実としてハードルが高く、ほかに資金調達の方法がなくなってしまいます。
そのため必要な時に必要な資金調達ができない中小企業が多いという課題があります。
また、中小企業は組織として情報公開が不十分なことも多く、コンプライアンス的にも金融機関が不安に思うことがあります。それがさらに融資をためらってしまうという悪循環になります。
もちろん、法人であれば登記簿謄本によって基本情報はわかりますが、それだけでは不十分ということです。融資を行う際には、総合的な判断となるため、そのための与信が中小企業には不足しています。それを補うだけの業績があればよいのですが、なかなか資金繰りが厳しく、運転資金を中心にした日々のお金の困っている、そのための資金調達になってしまっていることが中小企業不変の課題としてのしかかっています。
中小企業の資金調達方法
中小企業の資金調達は融資だけを考えているとなかなか大変です。複数の資金調達チャンネルを持つことで、いざというときに役立ちます。適切なタイミングで資金調達できるように準備しておきましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府系金融機関で、税金が投入されています。その目的は、民間金融機関での融資が難しい中小企業や個人事業主を助けることにあります。
多少返済事故になっても、倒産するよりもマシという判断で審査をするため、審査の難易度は民間金融機関(銀行融資)よりも低いです。
また、金利も低くて、無担保無保証人の「プロパー融資」もできます。
中小企業の方は、まず日本政策金融公庫に行って相談してもいいくらいです。また日本政策金融公庫と商工会議所が組んで行う「マル経融資」は、さらに難易度が低く、金利も低いのでおすすめできます。
制度融資
制度融資は自治体とその地域の金融機関が組んで行う融資で、自治体の窓口で行います。自治体が利子の一部を肩代わりするため、金利が低く、こちらも税金で中小企業を助ける融資になります。
積極的な経営指導などは受けられませんが、創業塾のようなものとセットになっている「創業融資」などでは、制度融資が有利に働くことがあります。
銀行融資
通常イメージする銀行融資です。日本政策金融公庫や自治体の制度融資よりも金利が高い傾向にありますが、民間企業なので利益になると判断した顧客へのサポートは手厚くなります。
審査はやや厳しめですが、「お得意様」と判断された場合、徹底的なサポートが期待できます。自社について、中小企業から大企業への脱却を図るなど、積極的な事業拡大を志向している場合、民間金融機関の銀行融資を受けて、「お付き合い」「取引履歴」を作っているといざというときに役立つでしょう。
クラウドファンディング
ここ10年ほどで一般化した、ネットで寄付を募る方法です。最近では国立科学博物館が実施して話題になりました。
返済不要の資金調達ですが、目標額を達成できなかった場合、資金調達に失敗し、寄付を受けられません。
また寄付額に応じてリターン(報酬)を設定するなど、まったく持ち出しがないわけではありません。
募集期間を設定する(数週間~数か月)ので、数日以内に資金が必要など迅速な資金調達の需要には応じられません。最初に目標があり、その資金を融資によらない方法で集めるのがクラウドファンディングです。
中小企業でも、何か大きな設備投資したいなど共感を集めるテーマ設定ができれば成功するかもしれません。
ビジネスローン
ノンバンク(消費者金融)が行う事業用融資です。審査は通常の銀行融資と異なり「スコア制」というものを導入していて、基準は易しめになっています。
審査のスピードも通常の融資よりも早く、迅速な資金調達に対応できます。しかし、上限額は1000万円程度と決まっていて、高額の資金調達ができません。
また、ビジネスローンは「融資」なので、信用情報照会があり、またビジネスローン利用歴は信用情報に記載されます。
「消費者金融からの融資歴」が残るので、今後の融資の際にマイナス点がつきます。本当に緊急でほかに資金調達手段がない場合などに限定した方がよいでしょう。
ファクタリング
売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい資金調達します。例えば、8月末締め、10月末払い、支払いサイト2か月(60日)の500万円の売掛金を9月10日に460万円で買い取ってもらうようなケースです。
入金日前に資金調達できます。手数料が引かれますので、売掛金満額の調達にはなりませんが、迅速な資金調達には向いています。
融資ではないので銀行法や貸金業法、利息制限法などの適用対象外になります。しかし、信用情報照会も信用情報に記載されることもありません。
融資とは別の枠組みで迅速な資金調達を可能にする方法です。
中小企業が資金調達を成功させるポイント
中小企業の資金調達はただでさえ大変なのですから、成功させるためにはポイントを押さえないといけません。
ただ、銀行融資だけで何とかしようとしても、金融機関が素直に融資をするとは限りません。融資以外の資金調達の選択肢も持っておきましょう。
目的にあった手法を選ぶ
資金調達する資金が、設備資金なのか、運転資金なのか、あるいは創業融資なのか、目的によっても資金調達方法が変わります。
何か会社を発展させるための設備資金であれば、前向きな資金使途であり、金融機関からの融資も成功する可能性があります。
しかし、日々の支払いや従業員の給料が払えないので、運転資金を調達する「追い込まれ型」の資金調達は、金融機関ではうまくいかないでしょう。
そうなる前に、ファクタリングなどによって迅速な資金調達を目指すべきです。
審査が柔軟な手法を選ぶ
金融機関からの融資は、銀行法や手形法などの規制を受けます。法律によって縛られていて手続きが複雑、面倒です。
ビジネスローンは比較的簡便な審査(スコア制審査)ですが、融資の1つであるので信用情報に「ノンバンク系からの借入」履歴が残ります。それでも良いなら構いませんが、よほどの場合の最後の手段にすべきです。
審査が柔軟で資金調達しやすいのはファクタリングです。ファクタリングならば、売掛先の信用があればかなり高い確率で資金調達できます。
高めの手数料というマイナス点はありますが、迅速で簡便な資金調達を必要とする場合は、ファクタリングが最も優れているでしょう。
積極的に情報開示を行う
対外的な信用がないと資金調達を求めても相手にされません。融資はもちろんですが、クラウドファンディングをする場合も、知らない、よくわからない謎の会社に寄付したい人はいません。
自社のブランド、強みをはっきりさせたうえで、それをポジティブなイメージに変えられるように積極的な情報開示を行ってください。
積極的な情報開示は対外的な信用を得るのに重要です。信用があれば融資だけではなく、さまざまな資金調達方法を選べます。経営上の選択肢「遊び」を確保するうえでも、情報開示によって信用される会社になるのは、きわめて重要です。
まとめ:中小企業は自社の状況にあった資金調達方法を選ぼう
資金調達方法は融資だけではありません。金融機関からの融資を受ける資金調達は、リスクが少ないのは事実ですが、審査に時間がかかり、不許可になる可能性もあります。
融資は銀行融資だけではなく、より可能性の高い、日本政策金融公庫の融資や自治体の制度融資という選択肢もあり、「何が何でも銀行から借りないと」という先入観は捨ててください。
それ以外にファクタリングやクラウドファンディングという新しい資金調達方法もあり、積極的な活用を検討してください。
いくつも資金調達方法を持つことで、経営に余裕ができます。そのためには自社の現況を把握することが大切です。
今回は触れませんでしたが、キャッシュフローの流れを把握し、どのくらい自己資本があるか知っておくことも重要です。「キャッシュフロー経営」を心がければ、資金調達のタイミングも容易に知れます。中小企業は大企業と比較してどれがしやすいはずです。
自社の状況に合った資金調達方法は、自社の状況を正しく把握していないとできませんので、中小企業といえど、自社について俯瞰できるようにしておいてください。
ファクタリングは特に新しい資金調達方法としておすすめできます。
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