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融資の種類はいくつある?公的融資と民間融資の違いや特徴を解説

一言で「融資」と言ってもさまざまな種類があります。それぞれの融資の特徴や違いを知ることで、業況や状況に応じた資金調達に何を使えばよいのかわかります。

今回はさまざまな融資について特徴を説明します。厳密には「融資」と言えないものも含めて紹介します。

融資の種類

まず融資の種類について理解しておきましょう。融資は税金が投入される「公的融資」と、そうではない「民間融資」に分けられます。

尤も、90年代の銀行破綻の際には公的資金(税金)が投入されたので、まったく民間融資が税金と関係ないわけではないかもしれません。

公的融資

まず公的融資です。公的融資は、利子の一部を税金で補填します。民間融資よりも審査基準を緩くして、業況が厳しい事業者を救います。

返済不能や倒産リスクはある程度甘受して、返済できない分は税金を投入することで補います。

ダメな事業者はおとなしく市場原理で倒産させておけばよいと考えるのは早計で、そうなると生活保護等公的扶助の負担が増えます。ある程度公的部門がリスクを補填することで、事業を続けてもらった方が最終的にはコスパがよくなります。

日本政策金融公庫

政府系金融機関である「日本政策金融公庫」からの融資が公的融資です。2000年代までは「国民生活金融公庫」(こっきん)と呼ばれていましたが、より大きな中小企業金融公庫と合併しました。

主に中小企業や個人事業主など弱い立場の事業者の支援を行っています。大企業でない限り利用できるので、融資できる事業者は多くなります。

審査基準は易しめで、民間融資で断られた事業者にも融資できる可能性があります。まず、こちらの日本政策金融公庫に融資相談してみるのもありです。

制度融資

地方自治体が窓口になっている融資です。自治体が直接お金を貸すのではなく、提携している民間金融機関がお金を貸し、自治体が利子の一部を自治体が補助するなど(利子補給)します。

結果的に直接民間融資を申し込むよりも支払う利息が安くなります。ただし、制度融資で利用できる金融機関や融資メニューは限られています。

民間融資

公的機関が関係しない、純粋な民間金融機関の融資です。銀行、信用金庫、信用組合、農協などの融資が該当します。

市場原理で厳格に審査されるので、「商品価値がない」=融資しても返済が期待できない事業者は融資を断られる可能性があります。

プロパー融資

「プロパー」というと、「正規の、本来の」という意味ですが、プロパー融資は、自治体などを介さず金融機関から直接受ける融資を指します。

民間金融機関にとっては利益を全部自分たちのものにできるので、プロパー融資可能な事業者はよい「お客様」「お得意様」になります。

担保や信用保証協会の保証がない、無担保無保証融資になるので、業況が良く返済について問題ないと判断される事業者に提供できるメニューです。 

事業実績を確認されるので、創業時に融資を受けることは難しく、また審査基準も厳しいので赤字決算の場合はまず受けられません。

信用保証付き融資

無担保無保証のプロパー融資が難しい場合、担保や保証人をつけることになりますが、担保を持っていない人もいますし、保証人を頼むのは人間関係が破壊されるリスクがあります。

そこで担保や保証人の代わりに、信用保証協会という機関に保証料を支払って、保険料のように、いざというときに保証協会が弁済してくれる融資です。

保証料は金利に上乗せされて支払うため、結果的にプロパー融資と比較して借入金利が高くなり、毎月の返済利息も多くなります。

銀行融資の形態

銀行融資の種類はこのようになりますが、融資の形態についてもさまざまな方法があります。簡単ではありますが、融資の形態についても押さえておきましょう。

手形割引

取引先から受け取った手形を金融機関に買い取ってもらう方法です。「○○日に支払います」という約束手形を期日前に金融機関に売りますが、実態は手形を担保にした融資となります。

手形という「担保」があるので、融資を受けやすいのですが、手形を振り出している取引先の業績によっては融資が見送られることもあります。手形の期日に不渡りを起こすリスクがあるからです。ご存知のように手形の不渡りは倒産に直結します。

手形貸付

手形貸付とは、金銭消費者貸借契約書に代わって約束手形を振り出して融資を受ける方法です。

原則1年以内の短期融資のみになりますが、いちいち金銭貸借契約書の取り交わすことが不要で手形の発行のみで済みます。簡略化した融資とイメージしてください。

使い勝手がよさそうな融資ですが、国の方では規制の方向です。経済産業省では2026年までに約束手形を廃止する方針を出しているため、今後の動向をチェックしなければなりません。

当座貸越

当座預金口座に設定されている限度額の範囲内であれば、自由にお金を借りるたり返したりできる融資方法です。カードローンで限度額内なら自由に借入、返済できるのと同じイメージです。

すぐに資金調達できる点がメリットですが、当座貸越が開設できるためには、金融機関の審査は厳しくなります。

証書貸付

通常の融資はこちらの方法になります。金銭消費貸借契約証書という借入契約を交わして融資を受けます。

融資の度に契約書を取り交わすことになるため手間がかかりますが、どんな会社でも審査に通れば融資を受けられます。

手形の場合、別途手形振出しのための審査があります。

融資以外の資金調達方法

資金調達方法は融資だけではありません。融資は「デットファイナンス」と言って、返済義務のある資金調達になります。

資金調達方法には、デットファイナンス以外に「アセットファイナンス」と「エクイティファイナンス」という方法があります。これらは返済義務のない資金調達になります。代表的なものを紹介します。

VCやエンジェル投資家からの出資

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から、出資を受けます。出資を受けて株式を発行し、業績を上げ、株価が上がり、それをベンチャーキャピタルやエンジェル投資家が売却して利益を上げます。

将来性を見込んだ投資であり、事業計画がしっかりしていないと彼らからの出資を受けられません。返済義務はありませんが、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家が株主になるので、経営に介入されるリスクを持ちます。

補助金・助成金

返済不要の公的資金を受給します。補助金は審査があり、助成金は基準を満たせば原則的に受給できます。

税金そのものを受給するので、応募時の審査だけでなく、事業終了後の報告をしっかり行わないと返還を求められることがあります。コロナの持続化給付金で見られたように、不正受給が発覚すれば刑事告発、逮捕される可能性もあります。

なお、補助金や助成金は後払いです。事業実施時は自己資金で行わなければならないので注意してください。

ファクタリング

自社が持っている売掛債権を買い取ってもらう手法です。アセットファイナンスに該当します。

8月末締め、10月末日払い、支払いサイト60日、200万円の売掛債権があった場合、10月31日以前に(200万円-手数料)で「10月31日に200万円もらう権利」を買い取ってもらい資金化します。

手数料がやや割高になりますが、融資ではないので返済等は関係なく負債にもなりません(資産の売却なので)。信用情報照会もなく、融資よりも迅速な資金調達が可能です。

ビジネスローン

ビジネスローンは厳密には融資になります。融資の1つですが、銀行や信金ではなくノンバンクが行う事業者向けローンになります。

ノンバンクなので審査は緩めで、融資を受けやすいのですが、「消費者金融利用歴」が信用情報に記載されます。結果的にそれ以降の融資の際に大幅なマイナス点がついてしまいます。

また融資上限額も多くて1000万円であり、緊急時の運転資金調達以外には向きません。信用情報へのデメリットと融資額が合わな過ぎて、本当に最後の手段にすべきです。

まとめ:融資の種類を知って目的にあった資金調達を行おう

融資の種類や形態はこれだけあります。民間融資にこだわらず、公的融資も含めて幅広い選択肢を持ってください。

また、融資だけではない資金調達方法についても知っていただくと、いざというときに多様な選択が取れます。

融資によらない資金調達方法についてもぜひ知ってください。デットファイナンスの融資ではなく、アセットファイナンスやエクイティファイナンスに相当する方法も知っておいてください。

融資の種類を知ることで、自社の現状に合った最適な資金調達ができます。そうすれば、キャッシュフローも安定し、経営に負荷をかけずに改善できます。

ぜひ、多様な融資の種類を取捨選択し、資金調達によって経営改善してください。

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