1. HOME
  2. コラム
  3. ファクタリングの基礎知識
  4. 銀行系ファクタリングとは?メリット・デメリットを解説

COLUMN

コラム

ファクタリングの基礎知識

銀行系ファクタリングとは?メリット・デメリットを解説

ファクタリングは債権者(ファクタリング申請者)が持っている売掛債権を買取って、その債権の回収を行う金融サービスで、近年多くの事業者が参入し、さまざまな商品が提供されるようになりました。

融資ではないので銀行法や貸金業法の対象外になり、法的には未整備な部分もありますが、機動的に資金調達が可能になる面もあります。

今回はファクタリングの中でも「銀行系ファクタリング」について解説します。

銀行系ファクタリングとは

銀行系ファクタリングとは、その名の通り、銀行法で設置が認められた銀行やその子会社など金融機関、関連企業が提供すしているファクタリングサービスになります。

冒頭で「ファクタリングは法的に未整備の部分があり・・」と述べました。銀行や消費者金融は、銀行法や貸金業法で参入できる条件が厳しく決められていますが、ファクタリングは違います。

中には怪しい業者もいて、玉石混交状態です。その中で、厳格な銀行法規制の中で営業している銀行(とその子会社)が行っている銀行系ファクタリングは、その運営においてとても頼りがいのあるものになっています。

ファクタリングを行っている銀行

ファクタリングを行っている銀行は、予想以上にあります。銀行の本業は融資ですが、それを補うメニューとしてファクタリングサービスを提供する流れになっています。

融資が難しい場合も、ファクタリングならばサービスを受けられる可能性があります。

メガバンク

メガバンクはそれぞれが子会社を持ち、そこがファクタリングを行っています。

メガバンク系のファクタリング会社は以下になります。

会社名親会社メガバンク実施するファクタリング
三菱UFJファクター三菱UFJ銀行保証ファクタリング
買取ファクタリング
国際ファクタリング
SMBCファイナンスサービス(三井住友銀行)三井住友銀行保証ファクタリング
国際ファクタリング
みずほファクターみずほ銀行買取ファクタリング
保証ファクタリング
国際ファクタリング
一括ファクタリング

地方銀行

地方銀行、地銀においてもファクタリングサービスを提供しているところがあります。

代表的なものをまとめました。

会社名地銀、親会社地銀実施するファクタリング
北洋銀行札幌の地方銀行一括ファクタリング
百十四銀行香川県の地方銀行一括ファクタリング
山口銀行山口県の地方銀行一括ファクタリング
足利銀行栃木県の地方銀行一括ファクタリング
武蔵野銀行さいたま市に本店を置く地方銀行一括ファクタリング
第四北越銀行新潟県の地方銀行一括ファクタリング
八十二銀行長野県の地方銀行一括ファクタリング
浜銀ファイナンス横浜銀行グループのファイナンス系企業一括ファクタリング
有限会社マーキュリー・アセット・コーポレーション福岡銀行の子会社一括ファクタリング
有限会社ジュピター・アセット・コーポレーション福岡銀行の子会社一括ファクタリング

地方銀行系のファクタリングはほとんどすべて「一括ファクタリング」(後述)であり、資金需要がある事業者の資金調達ではなく、支払い側の企業が手数料を削減するために、手形の代わりに使用する用途が主です。

したがって、融資に代わる資金調達を目的としている場合、メガバンク系のファクタリング会社のファクタリングサービスに頼ることとなります。

銀行系ファクタリングで利用できるサービス

銀行の本業は融資ですので、ファクタリングすべてのメニューを利用できるわけではなく、多少限られています。しかし、普通に営業するための用途であれば、わざわざ専業ファクタリング業者に依頼しなくても十分対応できます。

ここでは銀行系ファクタリングで利用できるサービスを説明します。

買取ファクタリング

通常の、もっとも一般的なファクタリングです。事業者に急な資金調達需要が発生したときに、売掛金を買取ってもらい現金化するファクタリングです。事業者からすると「手形割引」に近いイメージになります。手形割引は手形の実行前に手数料を引き、買い取ってもらいますが、買取ファクタリングも同じように、【売掛金額-手数料】を売掛金入金日の前に受取ることができます。

融資とは異なり、担保や保証人は不要なので、売掛先の信用力が大切です。銀行系の場合、ファクタリング利用者の信用力はあるわけですから、加えて、有名企業が売掛先なら、審査に通過する可能性は高いでしょう。

保証ファクタリング

保証ファクタリングは、そもそも資金調達が目的ではありません。信用力や経営状態に問題や不安があるクライアントと取引している会社が、取引先の倒産や経営の悪化で売掛債権の回収ができない場合、貸し倒れになるリスクを回避するために行います。

つまり、緊急事態に備えて、ファクタリング会社に手数料を「保証料」や「保険料」のように支払い、いざ回収不能になったとき、ファクタリング会社が保険会社のように売掛金の全額ないし一部を支払ってくれる仕組みです。

「倒産保険」「売掛金回収不能保険」のようにイメージしていただくとわかりやすいです。

国際ファクタリング

海外に商品を輸出しているメーカーや商社が売上を確実に回収するためのシステムが国際ファクタリングです。資金需要に困っている会社が借入の代わりに背に腹を変えられず、売掛債権を買い取ってもらうのではなく、日本と比べて信用度が低い海外に輸出するときにリスク回避の手段として利用します。

輸出業者(ファクタリング依頼主)→国内のファクタリング会社→国外、海外のファクタリング会社→輸入業者

この流れで行う実質「4社間ファクタリング」になります。輸入業者に対して、現地のファクタリング会社が連絡をして、ファクタリングを行う旨の了解を得ます。

また、現地のファクタリング会社が輸入業者(バイヤー)の信用度調査も併せて行っていただけます。これは国内の通常の一括ファクタリングにはないサービスです。ここで怪しい会社、信用できないだと判断されれば、輸出業者(依頼主)に情報、注意が行きます。本当にこのバイヤーと取引していいのか判断する材料になります。

国際ファクタリングは保険のようなものなので、即売掛債権を買い取って現金化するものではなくバイヤーからの支払いが滞った(通常90日程度)場合、ファクタリング会社が請求書(インボイス)の100%、全額を買い取ってくれるというシステムです。

一括ファクタリング

一括ファクタリングは、売掛債権受け取る側ではなく、支払い側(買掛金がある)の企業が手形の代わりに使用するというイメージで考えるファクタリングサービスです。

売掛金をファクタリング会社(今回は銀行や子会社)が買い取るという仕組みは同じですが、一括ファクタリングはファクタリング会社が提供する一括ファクタリングシステムに、支払い側(買掛金側)の企業が登録している必要があります。

このシステムを「電子記録債権」(でんさい)という金融機関共通システムで運用しているところが多いです。地銀のファクタリングはほとんどこの「一括ファクタリング」のみとなります。

手形取引に比べ、一括ファクタリングを使用すると、手形を発行する手間や印紙税などのコストが軽減されます。一括ファクタリングによって、売掛金入金日前に、銀行が代わりに支払い側にお金を払ってくれるため、決済の合理化、迅速化につながります。

資金調達したい売掛側ではなく、支払いを手軽に行いたい買掛側が利用するサービスで、融資代わりというファクタリング本筋とは少々異なります。

銀行系ファクタリングのメリット

銀行系ファクタリングを利用することに大きなメリットがあります。これは、銀行法によって厳しくその営業が規定され、コンプライアンス意識も高い金融機関が行うファクタリングだから担保されているものになります。

手数料が安い

銀行系のファクタリングは、独立系ファクタリング業者と異なり、本業の融資や資産運用業務を持っているため、ファクタリングで冒険する必要がありません。

銀行そのものの信用のためにも安全が重視されるので、二社間取引は基本的に採用されず、三社間ファクタリング(後述)のみの実施になります。

三社間ファクタリングは入金されないリスクが低いので、手数料を低く抑えることができます。売掛先の同意を得てのファクタリングになるので、売掛先が支払えず不渡りになるリスクも減らせます。

銀行のネットワークや信用情報を活用し、低リスクが実現されるので、手数料が抑えられます。

ファクタリングの種類が多い

地銀系のファクタリンサービスは「一括ファクタリング」に限られますが、メガバンク系のファクタリングサービスの場合、特殊な種類のファクタリングを扱うところもあります。

「国際ファクタリング」や「保証ファクタリング」がその例です。海外との取引や幅広い事業者間ネットワーク、コネクションを持つメガバンクだからそうした通常のファクタリングとは異なるメニューの提供が可能になります。

独立系の何のネットワークもないファクタリング業者では、国際ファクタリングや保証ファクタリングは不可能です。

安心感がある

銀行は銀行法の許可事業者であり、厳しい基準とコンプライアンスのもとに営業をしていて、社会的信用度は桁違いです。倒産しても公費で救済されるような事業者ならば、利用していても安心感があります。

銀行自体に信用や安心がないとそもそも金融業はできないわけで、そうした信用を持つ会社が行っているファクタリングならば安心できます。

銀行系ファクタリングのデメリット

一方で、独立系ファクタリングを利用した方がいいような理由、つまり銀行系ファクタリングのデメリットにも言及いたします。

3社間ファクタリングのみ

独立系ファクタリングの業者の場合、ファクタリング業者と申込人の契約のみで完結する「2社間ファクタリング」が利用できます。つまり、売掛先にバレずにファクタリングで資金調達が可能です。

しかし、銀行系ファクタリングは「三社間ファクタリング」のみになります。申込人とファクタリング会社だけではなく、売掛債権先の承認も得て、3者で行うファクタリングです。

2社間ファクタリングの支払い(売掛金支払日の振り込み)は申込人が行いますが、3社間ファクタリングは売掛先(クライアント)がファクタリング会社に支払います。

ファクタリング会社は直接売掛先から回収できるので安心で、資金を回収できないリスクが低く、手数料は安い傾向にありますが、売掛先にファクタリングがバレるので、希望者としては今後の取引関係に響くかもしれないデメリットがあります。

資金調達に時間がかかる

独立系ファクタリング業者の中には「即日現金化」を謳っているところもありますが、銀行系ファクタリングの場合、申込みから現金化まで、おおよそ2週間から1ヶ月ぐらいの時間が必要です。

融資のサインさほどではありませが、しっかり時間をかけます。内部決裁の手間もあるでしょうし、やはり対外的に信用を得るためにはしっかり審査することを銀行系ファクタリングは選択します。

今日明日のお金が必要で、ファクタリングを行いたい場合、銀行系ファクタリングは適しません。

期間だけで判断すると短期的な運転資金借入融資を利用した場合とほぼ変わらないので、急ぎで資金が必要となる場合、銀行系ファクタリングは避けたほうが無難です。

審査が厳しい

こちらも銀行の社会的信用にかかわるので、独立系ファクタリング業者などと比較すると審査が厳しくなっています。

三社間ファクタリングなので、返済できないリスクは低いのですが、それでも、本当に回収可能な売掛債権なのか、取引先に倒産リスクはないのか、などしっかり審査を行います。

まとめ:銀行系ファクタリングは特徴を把握して利用しよう

銀行系ファクタリングは審査に時間がかかるため、「即日入金」など急な資金調達には間に合わず不適です。しかし、銀行が持つ社会的信用によって、他の独立系ファクタリング業者や消費者金融系業者と比較し、手数料も安く、中長期的な計画で利用するのであれば、大きなメリットがあります。

また、国際ファクタリングや保証ファクタリングなどは、銀行の信用やネットワークなしではできない特徴的なファクタリングモデルです。もし、これらを利用したい場合、銀行系ファクタリングを利用するのがよいでしょう。

しっかりファクタリングの特徴を理解し、銀行が持つメリットを生かせるように事業に活用してください。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事

メール
お電話