ファクタリングとは、銀行などで行っている融資ではなく、ファクタリング会社が売掛債権を買い取ることにより企業が資金を調達するのが可能となる方法です。
ここでは、ファクタリングの審査基準や通過のポイント、及び必要な書類について解説します。
これを読むことにより、ファクタリングと融資との違いや、売却可能な売掛債権、またファクタリング会社の審査基準及び審査をクリアできるポイントがご理解いただけます。

ファクタリングと融資の審査の違い

ファクタリングとは、企業が保有している売掛債権をファクタリング会社（企業の売掛債権を買い取ることを業としている会社）に買い取ってもらうことにより資金調達を可能とする仕組みであるので借金ではありません。ファクタリング会社は利用者から所定の手数料を売掛金額より差し引いて資金交付します。
では、同じ資金調達でも、銀行などの金融機関からの融資とはどういった点が違うのでしょうか。大きく異なる点として次の2つがあります。

・審査対象
融資では申込人である企業や事業主が審査対象になりますが、ファクタリングでは主に売掛先が審査の対象となります。たとえば、申込人である企業が赤字や債務超過であったり、また事業主自身が債務過多であったとしても、融資なら審査が通らないケースでもファクタリングの審査では通るといったことが普通にあります。

・審査期間
銀行融資（プロパー融資）では審査に通常3週間以上かかることがあり、資金が必要な時期にまだ審査中といったことが起こりえますが、ファクタリングでは早い会社では即日、通常1週間ほどで審査が終了するので、企業の資金繰りにおいての利便性が高いと判断されます。

ファクタリングで買い取りのできる債権

すべての売掛債権についてファクタリング会社は、買取り可能なのでしょうか。
いくつか買い取りができない売掛金もあります。
買い取り可能債権、買い取り不可能債権のそれぞれを表にまとめました。

買い取り可能債権	買い取り不可能債権
・製品売買代金 ・サービス提供代金 ・運送料、輸送料 ・請負代金 ・調剤報酬 ・診療報酬 ・介護報酬 ・その他債権（対法人・対行政）	・譲渡禁止特約付き債権 （一部契約による） ・下請け代金支払遅延防止法に規定される 　債権 ・個人に対する債権 ・売掛先に対する買掛金が売掛金より 　大きいその他債権 （売掛先の支払能力不足など）

ファクタリングの審査基準

ファクタリングと融資の違い、買取可能な売掛債権、不可能な売掛債権について述べましたが、では、ファクタリング会社の審査基準はどのような点でしょうか。
特に注意すべき次の6点について解説します。

売掛先の信用力

銀行などの融資においては申込人の信用力が高いかどうかを審査しますが、売掛先の信用力を一番にファクタリング会社は審査します。なぜなら、ファクタリング会社は売掛債権の支払人である売掛先が信用リスク（倒産や支払の遅延など）に懸念があると判断すれば、これはすなわち売掛債権の回収が困難あるとの認識を持つことを意味するので審査が通らなくなります。
逆に、売掛先の企業の取引先が上場企業や官公庁であるなら、信用力が高い企業と判断される可能性が高くなるのでファクタリング会社の審査をクリアしやすくなります。

売掛金の支払日

ファクタリング会社は売掛金の支払日が近いほどリスクが少ないと判断し、また、支払期日が長いと回収までに天災や人災、あるいは売掛先に信用不安など思いがけないリスクを抱える恐れがあるため期日が短いほうが審査に通りやすくなります。

売掛先との取引期間

売掛先との取引期間について、取引の長いほうが有利に働きます。なぜなら、利用会社は売掛先と長年にわたって取引しているので、相互の信用が構築されており、売掛債権においても信用できる債権であると判断できるからです。
とはいえ、ファクタリング会社は売掛先に信用力があると判断すれば新規取引での売掛債権であっても買取は可能ではありますが、このように長年の取引のある売掛先のものは優良な売掛債権と判断し審査に通りやすくなります。

利用会社の信用力

審査対象となるのは売掛先がほとんどですが、利用会社に関してもファクタリング会社は売掛債権を買取るかどうかの判断要因としております。
信用情報などの審査は行いませんが、利用会社及びその経営者の評判や噂、人となりなどを調べて判断します。
もし、ファクタリング会社が利用会社の評判などが芳しくないと判断した場合、ファクタリング会社は取引するにあたり誠実に対応してもらえるかどうか不安になることも考えられるので、売掛先の信用力だけでなく利用会社も審査の対象としております。

売掛債権の種類

2種類あり、利用会社とファクタリング会社との「2社間ファクタリング」とファクタリング会社と売掛先、そして利用会社との「3社間ファクタリング」があります。
審査においては、3社間ファクタリングのほうが有利になります。
なぜなら、3社間取引は売掛先との同意が得て売掛金を回収することとなるからです。
つまり、ファクタリング会社は直接売掛先より回収ができ、利用会社から資金を回収する2社間ファクタリングより回収リスクが低くなるため審査に通る可能性が高くなります。

売上と利用金額のバランス

年商の半分近くの金額の利用申込があった場合、たとえ1社の売掛債権金額が高額であってもファクタリング会社は審査に慎重になります。なぜなら、利用会社の事業規模に相応しいかどうかを審査するからです。ファクタリング会社はたとえ売掛債権であるとしても金額から一過性のものと判断した場合、審査は厳しいものと予想されます。

ファクタリングの審査に通りやすくなるポイント

ファクタリング会社がどのような点を注意して審査しているのかを説明しましたが、それでは、審査に通りやすくするのにはどのようなことに注意すればいいのでしょうか。
主な4点について解説します。

信用度の高い売掛債権を選ぶ

売掛債権をファクタリング会社へ売却することを利用会社が検討する際、ファクタリング会社が審査に重きを置いている項目に売掛先の信用力があります。ですので、ファクタリングを利用することを考えるときには、利用会社は売掛先の選定をしっかり行う必要があります。
特に通りやすいとされる

・取引の長い売掛先
・優良な取引先とビジネスを行っている売掛先
を選ぶのがおすすめです。

3社間ファクタリングを選ぶ

2社間ファクタリング、3社間ファクタリングとファクタリングの取引にはこの2種類がありますが、最優先に審査のクリアを考えるのであれば3社間ファクタリングを選ぶ必要があります。ファクタリング会社にとって2社間ファクタリングより回収リスクが低いためです。利用会社にとっても2社間ファクタリングより3社間ファクタリングのほうが手数料が安くなるメリットはあります。しかし、売掛先にファクタリングを利用していることが知れることになり、双方においての信頼関係が崩れる恐れがあるといったデメリットも考慮する必要もあります。

>>3社間ファクタリングとは？仕組みやメリットデメリットに解説

支払日までが短い売掛債権を選ぶ

ファクタリング会社は自然災害や信用不安など売掛債権買取後に発生しうるリスクを避けたいと考えるため、支払日までの期間が極力短い売掛債権のほうが審査に通りやすくなります。また、日数が短い分手数料も安くなるので利用会社にとってもメリットがあります。

売上に対して適切な利用額にする

売上に対して売掛債権が高額であるならば、ファクタリング会社は利用会社の売上の規模から判断して妥当な金額を想定しているので、売掛債権とはいえど高額であれば審査に通らない可能性があるため、売上に応じたバランスのとれた金額の売掛債権を買取申込するほうが審査に通りやすくなります。
しっかりと必要書類を準備する
利用会社はファクタリング会社に売掛金の買取を依頼しても、売掛債権関連の提出書類に不備がある場合、正規な売掛債権であるのもかかわらずファクタリング会社はそのようにはみなされず審査に通らないケースがあります。そのため、利用会社はファクタリング会社が明示した必要書類をもれなく準備する必要があります。

ファクタリングの審査に必要な書類

審査に通りやすくするにはどのようなことに注意すべきかご理解いただけたかと思います。それでは、ファクタリングを申し込むにはどのような書類が必要なのでしょうか。
申込時・審査時、及び契約時、それぞれに必要な書類について説明します。

・申込時・審査時必要書類
　　本人であることを証明できる書類、及び売掛書類が実際の商取引であるものかを証明で　　きるものを提出します。

　　　1.本人確認書類（運転免許証、パスポートなど）
　　　2.決算内容確認書類
　　　3.売掛金証明書類
　　　4.通帳などの入金確認書類

・契約時必要書類
　　　審査に通ると、利用会社はファクタリング会社と契約します。

　　　1.印鑑証明書
　　　2.法人登記簿謄本（法人の場合）
　　　3.納税証明書

　　　が必要となります。

まとめ：ファクタリングの審査はしっかりと準備してのぞむことが重要

ファクタリングとは銀行などの融資と違った資金の調達方法で、売掛債権をファクタリング会社へ売ることで資金調達ができ、どのような売掛債権を取扱可能で、ファクタリング会社の審査基準や審査に通る方法、及び準備する書類について説明してきました。

売掛債権を売却依頼してファクタリング会社が買取ってもらうのにはさまざまな準備が必要であることがおわかりいただけたと思います。
資金繰りに頭を悩ませる経営者が多いと聞きます。この記事が資金調達の一助となることを願っております。