建設業の資金繰りは迅速な運転資金調達をいかに実現できるかがカギ!おすすめは?
建設業は大型案件を受注する際に、まとまった運転資金が必要な場合が多い業種です。そのため、資金調達を円滑に実現することで、仕事を受注でき事業拡大につながります。
資金調達方法にはさまざまなものがありますが、どの方法が適切なのでしょうあ?適切な資金調達方法を選ぶことで資金繰りが改善します。
今回は建設業としては喉から手が出るほど欲しい、大型案件を獲得するためにどのようにして資金繰りを改善すべきなのか、その方法を説明します。
建設業での資金繰りが難しい理由
建設業において資金繰り、資金調達が難しい方法はその構造にあります。建設業ならではの事情を知り、それに対応するために資金繰り改善が必要な場合があることを認識してください。
建設業の代金支払いの慣習
納期が先にあり、完成し検品が終わらないとお金が手に入らないという代金支払いの商慣習があります。
ある建物を建設する際には、代金が振り込まれるのは、建物が完成し、仕様通り建設されているか確認され、強度や耐震基準なども問題ないとチェックされ、完璧な仕上がりであることが確認され、初めて入金されます。
途中でミスや瑕疵があれば、その分の補強工事も必要です。納入先が100%の完成品として検収しないと代金が支払われません。それまでの費用はすべて自腹、持ち出しになります。
先払いの費用が大きい
完成した建物を納品し、検収されるまで支払いがありませんが、建設業の場合、特に先払いしなければならない費用が多くなっています。
具体的には、工事を受注すると、建設資材の仕入費や作業員の人件費、重機のレンタル費、協力会社への外注費などを先払いしなければならなくなります。
まず、多額の運転資金が必要になり、それは現金払いが原則になります。さらに、工期が延びたり追加工事が必要になったりすれば、自腹で立て替えることもあります。発注側は無理なスケジュールを示すこともあります。それでも仕事を受けざるを得ない事情も建設業にはあるのです。
資金繰りが苦しい中小企業が多い
建設業に限らず、中小企業ほど資金繰りが苦しいことは共通しています。しかし、建設業の場合は特に中小企業の資金繰りが圧迫される構図になっています。
わかりやすくいうと、建設業の場合、中小企業が請け負った工事は、代金後払いがほとんどなのですが、大企業、ゼネコンの場合は先払いや施工中(工事中)に支払われるケースが少なくありません。
中小企業の建設業は発注者に足元を見られていることになりますが、建設業における中小企業の割合は99%を超えるため、実質ほとんどの建設業事業者が工事代金後払いを受けざるを得ない状況になっていて、当然厳しい資金繰りの中での経営を余儀なくされています。
銀行での融資が受けにくい
資金繰りが苦しくても銀行で融資を受ければよいのでは?と思われるかもしれませんが、一般的に銀行は建設業者、特に中小企業の建設業に対する融資に消極的です。
特に、赤字案件の受注件数が多いケースがあり、その場合、返済する原資がないので融資できません。
中小企業の建設事業者が銀行融資を受ける際には、工事代金の回収と借入返済を同時に行う「紐づけ融資」を奨励されることがあります。
売掛金の回収後そのまま即返済、のような方法で、自転車操業になってしまいます。短期融資の弊害は大きく、中長期的に徐々に返済する長期融資を受けにくいのが建設業です。
建設業で必要になる運転資金
建設業では、先払い費用として多くの運転資金が必要になると書きましたが、その費用とは以下の費用になります。
- 材料費(建築資材など)
- 人件費(工事を行う作業員など)
- 外注費(外注で依頼する作業にかかる費用)
- 仮事務所や足場の確保、設備・重機を調達するための費用
建設業の場合、工事の規模によって投入する建設作業員を増やしたり減らしたりします。その「バッファ」を担うのが「一人親方」と呼ばれるフリーランスの建設職人です。彼らへの人件費、外注費は最優先事項であり、彼らの機嫌を損ねると建設工事が完成しません。
なかなか気を遣う存在ですが、金払いが良ければそのスキルを遺憾なく発揮してくれる存在です。潤沢な運転資金が必要になるのは、建設工事のクオリティアップに不可欠なことがわかります。
建設業での資金繰りを安定させるコツ
建設業の資金繰りが重要で、そのためには、難易度の高い銀行融資などに通過する必要があります。大多数が中小企業の建設業にあって、それを可能にするために、資金繰りを安定させるためにできることは何なのでしょうか?
資金繰り表を作成する
資金繰り表、あるいは「キャッシュフロー計算書」を作成します。会社のお金の出入りを表にしたもので、資金の流れや現金過不足の実態などが視覚的に把握できます。
顧問税理士などがいれば彼らにお願いしてもよいでしょう。収支やお金の出入りが曖昧なままでは、気づかないうちに資金がショートしてしまいます。ひょっとすると、融資によらず、会社のお金の流れを見直すことで、資金繰りが改善するかもしれません。
資金繰り表やキャッシュフロー計算書を作成し、工事ごとの原価や、支払いと入金の金額・タイミングを可視化できると「今あるお金」「すぐに調達できるお金」がわかります。
足りない部分を融資などによって資金調達し、資金繰りを改善していけばよいのです。
自社の状況に適した資金調達をする
売り上げがあっても、売掛金回収前に支払い原資がなくなってしまう「黒字倒産」などに陥らないためには、自社の状況把握が不可欠です。資金繰り表、キャッシュフロー計算書以外にも、今後の事業計画や借入計画などをしっかり立てることが大切です。
そのためには経営分析を行い、自社の強み・弱みなども知ることが大切です。自分たちだけではなく、経営コンサルタントや中小企業診断士などの専門家に自社を取り巻く環境の分析をお願いするのも1つの方法です。
その分析をもとに資金繰りについて考えていきましょう。
建設業の資金調達は何がおすすめ?
経営分析や資金繰り表の作成などによって、本当に必要な運転資金の金額がわかれば、それを何らかの方法で調達すればよいのです。資金繰り改善にもなる資金調達方法は大きく以下に分かれます。
公的融資(日本政策金融公庫、商工会議所のマル経融資)
日本政策金融公庫の融資や商工会議所、商工会が行っている「マル経融資」です。利率は低く、1%を切るものもあります。審査も公的資金を投入し、弱い立場の事業所を救うコンセプトですので、難易度的には高くありません。過去に自己破産した人に融資が出るケースもあります。
しかし、審査については非常に時間がかかります。迅速な資金調達ができないため、急な資金調達には対応できません。
計画的な設備資金調達の際には、利息も低いため有効な手法です。支払いリスクが安いため、資金繰りは改善します。
民間金融機関からの借入
民間の銀行や信用金庫からの融資です。さまざまなメニューがあり、調達可能金額もかなり高くなっています。しかし、審査に時間がかかり、なおかつ金利は公的融資よりも高い傾向にあります。
みなさんの事業所の経営状況が良ければ有利な条件で借りられますが、赤字決算が続いているケースなどの場合、審査に通らないことも考えられます。
従来取引がある金融機関であれば、ある程度融通を図ってもらえるかもしれませんが、初回の場合、審査は厳格になります。
急な資金調達に対応し、資金繰りが改善できるかどうかは、お付き合いの度合い次第の面もあります。
ビジネスローン
ノンバンク系会社(消費者金融やカード会社)が行う融資です。イメージとしては高利だが迅速な資金調達が可能な融資です。
金利が高く、「消費者金融からの借入」として信用情報に残るため、以後の融資の際にマイナスになります。上限額が決まっていて(約1000万円)それ以上借りられないことも押さえておいてください。
緊急に資金調達が必要で、なおかつ金額が多くて1000万円くらいの時に、以後の融資審査でマイナスになるのを覚悟して行う方法です。ほかに方法があるのはそれにすべきで、ビジネスローンは最後の方法とも言えます。
ファクタリング
融資ではなく売掛金(売掛債権)を買い取ってもらう資金調達方法です。銀行法や貸金業法の適用を受けず、売掛金の請求書を中古ゲームソフトや本と同じようにファクタリングが買い取ります。
買い取りの際に請求書の金額から手数料を引かれるので、200万円の売掛金も現金化できるのは160万円~180万円くらいになります。
建設業は最初に述べたように、入金が最後になるため、建設工事終了後→請求書を出す→発注先が検収、検品するまでに時間がかかります。ファクタリングを利用すれば、請求書を出した段階でファクタリング会社が請求書を買い取るため、売掛先からの入金よりも早く現金化できます。
同時並行で複数の工事を行っていれば、未入金の売掛金はあるはずで、それをファクタリングすることで、迅速に現金化でき資金繰りが改善します。
請求書以前の発注書や注文書の段階で買い取るファクタリングも存在しますが、(まだ納品されていない段階のため)条件が厳しくそれほど広がっていません。実際に納品まで完了した請求書を買い取るのが一般的です。
ファクタリングは、手数料を金利換算すると高くなりますが、審査も緩めで、迅速な資金調達ができます。融資ではないので、信用情報にも影響しません。
まとめ:建設業の迅速な資金調達ならばファクタリングに勝るものなし!
建設業は、仕事受注の際にまとまった運転資金が必要になり、その一方で融資を受けにくい中小企業が大多数という特徴があります。
融資の審査を待っていれば、受注のタイミングを逃してしまうかもしれません。工事完成、請求書の発行から実際の入金までのサイトが長いことを利用して、ファクタリングによって資金調達するのが1つの選択肢になります。
手数料分現金化できる金額は減りますが、迅速性と審査の簡便さで融資よりもメリットがあります。
もし、まとまった運転資金が必要になった場合、ファクタリングの利用を検討してください。信用情報にまったく影響しない新しい資金繰り改善手法になります。
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