製造業の資金調達にはファクタリングがおすすめな理由と注意点を解説
迅速な資金調達の手法として、近年注目を浴びているファクタリングですが、このファクタリングという制度、特に製造業を行っている事業者におすすめできます。
なぜ、製造業の資金調達方法に適しているのでしょうか?それは製造業独特のシステムやビジネス慣行と関係ありそうです。
今回は製造業とファクタリングについて解説していきます。
製造業でファクタリングがおすすめの理由
まず、製造業でファクタリングがおすすめできる理由について説明します。製造業独特の慣行などもあるため、しっかり理解しておきましょう。
掛け取引が基本
製造業は「掛け取引」「掛売り」が基本です。つまり、商品を納品するごとに売上代金を受け取るのではなく、1か月分なら1か月分まとめての金額を、月末などに請求書で取引先(売掛先)に出します。
売掛先は請求書をもらったあと、60日とか90日後までにお金を用意して、定められた入金日に請求書の代金を債権者(売った人)に支払います。
そのため実際に納品、売上が発生してから、実際の入金までに時間がかかります。この期間を「サイト」と言います。サイトが長いと、売上計上しているのに、現金がなくキャッシュフローが悪化してしまいます。
手持ち現金になるまでに時間がかかってしまうのが製造業の売買の特徴です。
外注費や材料費の持ち出しが多い
製造業で作業をしてもらう人(協力会社など)への外注費や商品の製造原料など材料費については、後払いはできず、先払いが基本になります。
つまり、ある仕事に取り掛かる際には、手持ち現金、キャッシュフローが必要になります。キャッシュフローがないと仕事の依頼があっても、受注できない状態になります。
常に仕事を受注でき取り掛かれるように、「遊び」として余剰現金、キャッシュフローを用意しておく必要があります。
固定費が大きい
製造業を行うためには、固定費がかかります。商品を生産するために、工場や機械、設備など様々な準備が必要になります。これらは、商品の受注量にかかわらず必要な固定費であり、どれだけ発注が来ても、あまり発注がなくても、一律に発生する費用です。
製造する商品の数によって変動する変動費もありますが、製造業の場合、まず工場を建て、電気を通し、機械を購入して、と商品生産を開始するための工程の割合がとても高く、これは商品受注の過少にかかわらず発生します。
当然、これらの費用は買掛(つけ払い)が難しく、初期に手持ち資金として準備しなければなりません。その維持費も毎月しっかり発生します。
トラブルが多い
製造業で使用する機械は、急なトラブルなどで停止してしまうことがよくあります。機械が止まったままでは仕事になりませんので。商品を製造するための機械が大きな役割を果たします。
機械が故障してしまうと商品の製造ができなくなってしまうため、売上に致命的な影響を与えてしまいます。それを防ぐためにも、至急修理を呼んで機械を直してもらわなければいけませんが、手持ちの現金がないと速やかな修理ができません。
修理代をツケ(買掛金)にしてほしいというお客は後回しにされてしまいます。修理ができず、新規機械購入をする場合はなおさら現金が必要です、一括現金払いするということならば、機械メーカーも融通を利かせて速やかに納入してくれる可能性が上がります。
製造業でファクタリングを行うメリット
このように製造業は、その性質上、手持ち現金、キャッシュフローが少なくなりがちな業種ということがわかりました。いきなり機械が壊れる、大きな仕事の依頼がある、そうした場合にすぐにキャッシュを用意できないと対応できません。
しかし、ここから銀行へ行き、融資の依頼をするとなると、とても時間がかかってしまいます。そこで急な資金調達の必要性に迫られた場合、利用したいのがファクタリングです。ファクタリングは迅速な資金調達、現金化を可能にします。
即日での資金調達が可能
ファクタリングは売掛債権の買い取りですが、その証拠となる売掛先への請求書がしっかりしたものであれば、迅速な買い取り、現金化が可能です。
融資の場合、銀行法や貸金業法に定められた厳格な手続きによって、時間をかけた審査が必要になりますが、ファクタリングは融資ではないのでそれらの対象外です。
請求書を買い取っても、売掛先から入金する可能性が高いと判断できれば、最短即日でファクタリング会社が買い取り、資金調達できます。
製造業で急な資金需要が発生した場合、売掛金が多い業種ですので、買い取ってもらえそうな請求書はいくつかあるはずです。それらを上手に組み合わせて、必要額をファクタリングによって現金化し、急な資金需要に対応できます。
保証人や担保が不要
融資の場合、担保や保証人が必要なケースもあります。無担保、無保証人の融資もありますが、金利が高く、審査も厳しくなります。
しかし、ファクタリングは担保や保証人が要りません。請求書そのものが担保であり、売掛先から回収できれば問題ないのです。
審査の難易度が低い
上述した通り、ファクタリングは融資と異なり審査について厳格な規定がありません。売掛先が信用でき、入金日に資金を回収できるとファクタリング会社が判断すれば、それで審査はOKです。
審査の難易度や時間も含めて、融資と比べてファクタリングはかなり緩く、機動性ある対応が可能になっています。
製造業でファクタリングを行う注意点
ファクタリングは便利なように見えますが、注意点やデメリットについても認識しておかなければなりません。製造業がファクタリングする際の注意点についてまとめました。
売掛先の信用力が必要
融資の場合依頼人の信用力が大切で、そのため信用情報照会が審査の過程で行われますが、ファクタリングで重視されるのは、依頼主ではなく売掛先の信用力です。
売掛先が期日になり売掛金を支払ってくれなければ、ファクタリング会社は大きなリスクを背負うことになり、請求書を買い取れません。逆に、だれもが知っている優良会社宛の請求書であれば、入金されないことはないので、ほぼ確実に買い取ってもらえます。
売掛先にどのくらい信用力があり、期日に確実に支払いがあるかどうかがファクタリングで重視されます。したがって、知らない会社宛の請求書は審査に時間がかかったり、買い取り金額が少なくなったりする恐れがあります。
手数料がかかる
融資の金利に該当するのがファクタリング手数料です。手数料は2社間ファクタリングで10%~30%、3社間ファクタリングで1桁(9%以下)になります。
つまり、請求書の金額から手数料を引いたものが買い取り価格となり、100万円の売掛金も80万くらいの現金化しかできません。
その手数料を金利換算すると、3社間ファクタリングの一部を除き、利息制限法の20%を超えてしまいます。2社間ファクタリングの場合、年利換算すると100%超えのものもあり、もし時間をかけられるならば、融資の方が得です。
あくまで緊急で時間がない場合の資金調達手法としてファクタリングを考えて方がいいかもしれません。
売掛金が上限になる
請求書に記載のある売掛金を買い取るので、理論上の買い取り価格の上限は売掛金の金額になります。
100万円の請求書のファクタリングであれば、何をどうやっても100万円以上にはなりません。もっと多くの資金調達をしたい場合は、融資に頼るしかなく、そもそも売掛金がない事業者はファクタリングを利用できません。
現金商売の製造業はほとんどないでしょうが、他の業種ではそれがありえます。
理論上、売掛金が上限になりますが、実際はそれよりも下がります。
【売掛金×「掛け目」(買取率)-手数料】=買い取り価格
になるからです。100万円の売掛金も80万円~85万円で買い取ってもらえれば万々歳といったところです。
製造業者がファクタリング会社を選ぶときのポイント
製造業の方がファクタリング会社を選ぶときには何に注意知ればよいのでしょうか?ポイントを3つまとめました。
手数料
ファクタリング会社の買い取り手数料は直接、資金調達額に影響します。2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで手数料は異なりますが
・2社間ファクタリングならば可能なら15%程度
・3社間ファクタリングならば5%未満
でファクタリングできれば、大きなメリットがあります。迅速さと審査時間も関係するので、本当に即日資金調達が必要な場合、多少手数料が高くても仕方ないですが、ある程度時間の猶予がある場合、手数料が安いところを選びましょう。
買い取り金額
買い取り金額は手数料だけで決まりません。「掛け目(かけめ)」という買取率も重要です。
請求書の金額(売掛金額)×掛け目=現金化できる金額のベース・・・α
α-手数料(α×手数料率)=実際に手にできる現金
になります。そこから掛け目が高くないと、いくら手数料が安くても、資金調達額が減ります。
また、製造業の場合、巨額の資金調達が必要になるケースもあるため、ファクタリング会社の買い取り上限額も重要です。なるべく買い取り上限額が高い会社を選び、さまざまなケースに対応できるようにしましょう。
スピード
迅速な資金調達が必要でファクタリングをするケースが多いのですから、申請から入金までのスピードも重視しましょう。即日入金可能なところもおすすめです。ただし、スピードは速いが手数料が高いファクタリング会社もあります。
みなさんの資金調達の予定次第では、スピードはやや遅いが手数料が安いファクタリング会社を選ぶものありです。
まとめ:製造業者はファクタリングを活用して資金調達をしよう
製造業は突発的にキャッシュフローが必要になる業種です。急な受注や機械の故障修理に対応するため、現預金の「遊び」が必要になります。
急な資金調達で融資は利用できません。そこで、売掛金が多いことを逆手に取り、それを買い取ってもらうファクタリングを効果的に利用しましょう。
即日現金化も可能で、審査も簡便、売掛先に信用があれば問題なく資金調達できます。
手数料の高さもあるので、融資で充当できる部分はそちらを使い、緊急の資金調達など目的を限定すると、ファクタリングのメリットが活きます。
上手に資金調達して、仕事をどんどん受注してください。
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