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ファクタリングの基礎知識

ファクタリングによる「オフバランス化」で資産のスリム化を!

ファクタリングは迅速で審査が簡便な資金調達目的で行われることが多いですが、それ以外にも副次的な効果があります。資金調達以外にもファクタリングにはメリットがあり、余剰資金が既にあったり、融資で問題なかったりするのに、あえてファクタリングする会社もあります。

今回紹介するオフバランス化もファクタリングの資金調達以外の効果の1つであり、メリットが大きいものです。

オフバランス化によって、経営をスリム化し貸借対照表をわかりやすいものにする効果があります。それはどのような良い結果をもたらすのでしょうか?

今回はファクタリングによるオフバランス化について解説します。

ファクタリングは資産を減らす

それでは、ファクタリングによるオフバランス化について解説してきます。

資産があっても良いことばかりではない!

ファクタリング前に請求書を発行すると、発行日に「売上」として計上されます。計上された売上は「売掛金」になりますが、売掛債権(売掛金)は会社の資産です。

資産は貸借対照表の左側(借方)ですね。売掛金が多いとそれに伴い会社の資産も増えます。しかし、売掛金が多くなりすぎると、これは貸借対照表の肥大化を意味します。

実際の売掛金はまだ現金化されておらず、キャッシュフローとして計算できません。すぐに自社の経営に使えないお金であり、現預金とは違います。

売掛金が多い=資産が多いがキャッシュフローとして計算できない、ということになります。

バランスシート(貸借対照表)の数字が大きくなり、金融機関を含めた外部からは非効率的な経営を行っているのでは?とマイナス評価になります。

さらに不良債権化した売掛債権をいつまでも資産計上している粉飾決算では?という評価も受けかねません。不良債権は資産ではなく負債です。実際には回収可能な売掛金(売掛債権)でも、あまりに多いと貸し倒れ状態の不良債権をそのまま資産計上していると思われてしまいます。

オフバランス化の意味

ファクタリングによって売掛債権を売却し、現金化することで、貸借対照表上の「売掛金」が消えます。その結果「現預金」が増えます。

現預金は流動資産であり、キャッシュフローとしても計算できます。現預金は「今そこにある充当できるお金」なので、粉飾の余地がなく、金融機関なども疑いません。

結果的に、資産の肥大化を抑えられます。ファクタリングによる売掛債権売却の結果、決算書、資産表上、売掛金勘定が減り、スリムで効率的な経営を行っているという外部評価になります。

なお、オフバランス化しても資産が「売掛金」から「現預金」に代わるだけで、「資産=負債+資本」はスリム化しないのでは?と思われるかもしれませんが、現金化(売掛金売却)の段階で、手数料を取られる分資産が減ります。

一方、融資による資金調達の場合は資産が減らないばかりか、調達した資金と同額の負債も増え貸借対照表は肥大化します。

具体的な例を見ながら両者を比べてみましょう。

    借方金額貸方金額
現金400万円借入金100万円
売掛金100万円資本金400万円
(利益100万円)
合計500万円合計500万円

この貸借対照表を持っている会社が100万円の資金調達をするため、ファクタリングした場合と融資を受けた場合の貸借対照表の変化を見てみましょう。

【ファクタリングした場合】

手数料10%で売掛金をファクタリングしました。すると、

    借方金額貸方金額
現金490万円借入金100万円
資本金390万円
(利益90万円)
合計490万円合計490万円

貸借対照表の借方、貸方ともに10万円減り、スリム化、オフバランス化ができました。

一方、資金調達を融資で行った場合はこうなります。

【融資を受けた場合】

    借方金額貸方金額
現金500万円借入金200万円
売掛金100万円資本金400万円
(利益100万円)
合計600万円合計600万円

借方、貸方ともに100万円増え、貸借対照表は肥大化します。同じ金額を資金調達したい場合、ファクタリングと融資では、その後の貸借対照表の数字が大きく異なります。当然外部評価がいいのは、数字が減ったファクタリングのほうです。

このようにスリム化した貸借対照表を作ることを「オフバランス化」といい、ファクタリングによってそれが容易になります。

ファクタリングによる資産の「オフバランス化」は、債権を流動化させることで、貸借対照表、決算書や試算表から「売掛手形」や「売掛金」の勘定科目の金額が減り、手数料分の資産が減り貸借対照表がスリム化します。

オフバランス化のメリット

ファクタリングによって売掛債権を現金化することで、メリットが大きくなりますが、さらにそれらを深堀りしてみましょう。

贅肉のない経営を行っているように見える

ファクタリングによるオフバランス化で売掛金が減れば、本当に回収できるかどうかわからない「売掛金」勘定が減ります。

貸し倒れリスクがある売掛債権、不良債権化売掛債権はまさに「贅肉」です。オフバランス化によって贅肉がなくなり、筋肉質の経営を行っているように見えます。

経営に「遊び」(緊急時の資金などキャッシュフロー)は必要ですが、売掛債権はすぐに現金として充当できないため「遊び」にはなりません。

期日が来ないと何に使うこともできない資産は「贅肉」以外の何物でもなく、オフバランス化によって流動資産化することが重要です。

金融機関からの審査の際に加点評価

資産勘定項目を少なくして、かつ利益が上がっていれば、機動的で効率的な経営ができていると評価されます。

ファクタリングによる売掛債権の現金化によって、オフバランス化が達成され、現預金=流動資産を増やすことが金融機関からの評価につながります。

ちなみに、ファクタリングではなく、金融機関から借入した資金調達の場合、「負債」(流動負債や固定負債)が膨らみます。

当然、負債が多い経営はバランスシート上、ネガティブな評価にならざるを得ません。

資金調達と経営のオフバランス化を両立させるためには、負債を増やさず、現預金を増やすファクタリングがうってつけということになります。金融機関からの評価もよくなります。ファクタリングは信用情報に記載されませんので、金融機関もファクタリングの事実はわかりません。

中長期的には「キャッシュフロー経営」を実現できる

中長期的に安定する経営手法として「キャッシュフロー経営」が注目されています。

キャッシュフロー経営とは、文字どおり「キャッシュ」を重視した経営手法です。借入によらない資金調達によって、手元に豊富なキャッシュ(現金、預金)を準備して、機動的に事業に取り掛かる経営です。融資による資金調達は時間がかかり、返済義務を負うなど経営にとってポジティブな要素は少ないからです。

損益計算書に示される会計上の利益だけを考慮して「今期は黒字だった」「こんなに利益が出た」というのではなく、手元の運転資金確保を優先し、キャッシュ(現金、預金)をどうやって増やすのかを重視した経営手法です。

売掛金が多ければ見かけ上資産も増え、黒字になりますが、実際に手元にキャッシュはなく、すぐに使えるお金にはなりません。ファクタリングによって売掛金を現金に換えることでキャッシュフロー経営の目的に近づきます。

借入や負債の少ない経営を行っているので、いざというとき金融機関から資金調達したい場合、評価もよくなります。負債がなく、現預金が多い会社ならば、返済能力も問題ないと評価されるわけです。

オフバランス化のデメリットはある!?

ファクタリングによるオフバランス化はメリットばかりのようにも思えますが、デメリットもあります。それらについて確認しておきましょう。

オフバランスにより、バランスシートのスリム化はできますが、結果的に売掛債権を換金してしまっているので、いざという時に現金化できる資産を失うことになります。

つまり、「保険」としていざという時に売却できる売掛債権を所有しておくのも1つの方法だということです。現金化してしまうことに慣れてしまうと、ひょっとすると無駄な支出をしてしまいがちになるかもしれません。

不良債権化した売掛金をそのまま資産勘定して残す粉飾決算もありますが、逆に本来オフバランス化してはならないものをオフバランス化して消してしまう粉飾もあります。売掛金を売却するのは良いのですが、2期分の決算書を見せた時に、前々期は多額の売掛金を資産計上し、前期(あるいは当期)はまったく計上しないと、何か不正があったのでは?と疑われる可能性もあります。

ファクタリングによるオフバランス化を行ったことや、その経緯、目的などについてしっかり説明できるようにしておいてください。

まとめ:資金調達ではなくオフバランス化を実現させるためにあえてファクタリングをするのもあり!

ファクタリングによるオフバランス化は1つの副次的効果ではありますが、経営をスリム化でき、機動力を増やせる方法として注目されます。

キャッシュが多い経営をマイナス評価するケースは少なく、借入=負債が多いよりもずっと健全です。

資金調達する必要がないケースでも、サイトが長い売掛債権をファクタリングしてキャッシュに換えることで経営がスリム化します。

大きな融資を考えている場合などは、事前に売掛債権を全部ファクタリングで現金化してしまうのも戦略としてありです。

絶対にしなければならないということではありませんが、1つの経営手法としてファクタリングによるオフバランス化という選択を知っていると、いざという時に役立ちます。

ファクタリングは資金調達以外の用途もある、というのが重要です。

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