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赤字決算でも融資を受けられる?資金調達の方法を解説

赤字が続くとどうしても資金調達が必要になります。黒字ならば利益から余剰資金を捻出できますが、赤字の場合は、自己資本が増えず資金の「遊び」がありません。

赤字の時ほど融資が必要なのですが、実際に融資を受けられるのでしょうか?黒字決算よりも赤字決算の方が審査が厳しくなるのは明らかです。しかし、100%無理というわけでもありません。

今回は赤字決算の場合融資を受ける方法について解説します。

赤字決算とは

赤字決算とは、支出が収入を超えて利益が出ていない状態のことです。

支出>収入

で、トータルでマイナスの収支になります。

赤字決算が続くと、負債が増え、資本(資産)が減っていきます。

 事業内容が悪くて本当に赤字決算の企業が大問題になります。

一方で「税金対策」と言われるような、本業では利益が十分に出ているケースで、一時的に戦略的に赤字決算にしている場合は問題は特にありません。

問題なのは経営改善、経営努力を行っても一向に赤字決算が黒字決算になる兆候がない場合です。病気で免疫が必要なのにそれを届ける血液が貧血で、輸血が必要なケースをイメージしてください。その場合の輸血が融資による資金調達になります。

血液を増やすには鉄分や葉酸を摂取して体質改善を図らなければいけませんが、それが間に合わないので輸血する、地道な経営改善では赤字決算が直らないのと似ています。

根本的な経営改善が必要ですが、それでは経営が改善せず、支出>収入になりどんどん企業の体力(血液)がなくなっていきます。赤字決算がどういうものかお分かりいただけたことと存じます。

赤字決算のメリット

赤字決算はデメリットばかりではなくメリットもあります。「税金対策」と言われる状況、つまり意図的に一時的に赤字にした場合、以下のようなメリットが期待できます。

法人税が軽減する

赤字なので法人税が減ります。課税所得は「売上-経費」に一定の料率を掛けて計算されますが、赤字決算の場合は「売上-経費」がマイナスになります。

マイナスに何をかけてもマイナスですから、赤字決算の場合、法人住民税均等割以外の法人税関係はゼロになります。

また赤字の繰り越しもできます。赤字になった翌年度以降、繰越期限までの10年の間に黒字を出せた場合、そのプラスマイナスを相殺できます。

つまり

2020年 100万円赤字

2021年 100万円赤字

2022年 200万円黒字

の場合、本当なら2022年か黒字で法人税がかかりますが、過去2年分の赤字200万円を相殺できるため、200-100-100=0

0円の収支となり、法人税がかからなくなります。自社の経営にダメージにならない範囲で赤字を出すというのも戦略としてアリです。

法人税の還付金の受け取り

資本金1億円以下、かつ青色申告で確定申告している中小企業に限定されますが、中小企業の赤字決算の場合、前期に支払った法人税の還付請求ができます、これにより一時的な資金調達にもつながります。

注意したいのは、還付されるのは前期に支払った法人税になります。それ以前に黒字決算で、納付した法人税は還付されません。

赤字決算のデメリット

赤字決算にはデメリットが多いです。だから今回このようにして説明しています。赤字決算は社会的信用を大きく落としてしまいます。

金融機関からの信用がなくなる

赤字決算の企業は融資の際不利になります。金融機関からの信用がなくなり、融資の審査に通らない可能性が高くなります。

黒字決算ならば融資したお金の返済がその黒字部分からできますが、赤字決算の場合融資の返済原資がありません。お金を返すあてがない事業者に融資はできません。

そのためよほど金融機関を説得できる材料がないと、融資を受けにくくなります。

債務超過になる

赤字決算の場合、返済が難しくなり、借入や買掛金(ツケ)などが増えていきます。あるいは、売掛金が焦げ付いて回収不能になり、不良債権化してしまうこともあります。

債務超過に陥ってしまうことになり、買掛金が支払えなくなる、融資の支払いが遅れるという事態になれば、事実上倒産とみなされる可能性もあります。

債権よりも債務が増えている状態では、資産を増やせません。

赤字決算でも融資を受ける方法

赤字決算でもすぐに、必ず融資の審査に落ちるというわけではありません。やり方次第で赤字決算が続いていても融資を受けられるかもしれません。その方法を説明します。

経営改善計画を提出する

なぜ収入<支出に陥っているのか、その原因を探り、今後収入>支出になるような具体的な経営改善計画が示せれば、銀行も納得します。

創業融資に必要な事業計画書の赤字決算企業バージョンというべきものを作成します。創業融資の場合はゼロからのスタートですが、赤字決算が続いている企業はマイナスからのスタートになります。

創業計画書以上に納得させられる客観的な事業分析などが必要になります。

融資による業績改善の根拠を示す

融資が「焼け石に水」にならないことを客観的に示せるかどうかも重要です。すでに借入過多になり融資がないと事業が継続できない状態は、麻薬がないと生きられないドラッグ中毒の患者のような状態です。

経営改善、業績改善が期待できるので、融資によって「真水」を注入する効果があります。砂漠に水をまくような状態になる場合、金融機関は融資を行いません。しっかり融資の効果を示してください。

銀行員が赤字決算をみる際のポイント

赤字決算でも融資が通る場合、銀行の融資担当者がチェックするポイントがあります。これをクリアできていれば、そもそも経営悪化による赤字決算ではない「前向きな投資」とみなされます。

赤字の内容

赤字の内容もチェックされます。売上が低迷していて赤字決算になっているのか、一時的な経費が増えたことによる赤字決算なのかで違います。

売上<経費

の場合赤字ですが、売上が低いとどうしようもありません。しかし、経費の内容によっては融資判断に影響しません。

必要かつ高額な設備投資を行って赤字になったケースなどです。例えば、個人タクシーの運転手は5年~7年に一度タクシーを買い替えます。タクシーは減価償却資産ですが、初年度は手付金やタクシー内備品等で減価償却以上の赤字を計上する可能性があります。

しかし金融機関は「この個人タクシーは返済能力がないから貸さない」ということにはなりません。

どういう理由で赤字を計上しているのか、特に金額が多く、投資効果もありそうな設備資金の場合は、マイナスに評価されません。

一過性かどうか

赤字決算が連続したもの、自社の経営内容の悪化

によるものではなく、創業時の借り入れによる赤字や、災害(例:台風の被害で向上が破損した修理費用で赤字になった)、事故による赤字など、継続して起きないことがわかっていれば、「一過性の赤字」とみなされ、黒字企業と同等の扱いを受けられる可能性があります。

審査に当たり、加点要素にはなりませんが、やむを得ない赤字として減点幅も少なくなるイメージです。

赤字決算で資金調達をする方法

赤字決算、しかも経営上の問題が改善できない場合、融資は受けられないかもしれません。しかし、資金調達しないともっと経営状況が悪化してしまいます。

その場合、融資によらない資金調達を考えなければなりません。当面考えられるのが以下の3つの方法になります。

クラウドファンディング

ここ10年ほど流行っているインターネットで寄付を募る方法です。株式発行ではなく、純粋にネット上で寄付を求めます。

株式のように経営に介入するおそれもありません。しかし、クラウドファンディングを損なう際には目標額を定め、それに達しない場合返金しなければなりません(例外あり)。

また、寄付を募る期間は数週間~数か月単位なので、迅速な資金調達には向きません。あらかじめ大きなプロジェクトがあり、そのための資金調達をしたい場合などに向いている方法です。

ビジネスローン

ノンバンク系(消費者金融)の事業者向けローンです。つまり融資なのですが、通常の銀行融資とは少し審査の基準が異なります。

迅速な資金調達ができますが、金利は高く利息制限法のほぼ上限です。また、「サラ金からの借入」になるので金融機関がこの事実を知った場合、以後の融資が受けられなくなるリスクもあります。

そして融資である以上、法律によって信用情報照会と信用情報への記載が必須なので、消費者金融から融資を受けていることはバレます。

隠せないので、ビジネスローンの利用はこれを使わないと資金調達の手段は皆無。最後の最後の奥の手で、これを使わないと倒産する、くらいにならないと利用するメリットはありません。

ファクタリング

売掛債権を買い取らせて現金化する手法です。「〇日締め翌月△日払い」などの売掛金があれば、入金日前に「売掛金を受け取る権利」を売って現金にして資金調達となります。

買い取りの際には、売掛先の信用が重視されます。期日に入金することを期待してファクタリング会社が買い取るので、有名な会社や官公庁、自治体などへの請求書があれば高価買い取りが期待できます。

何らかの売掛金があることが必要です。売掛金やそれを証明する請求書を出せれば、最短即日で資金調達できます。

ファクタリングは融資ではないので、信用情報照会と信用情報への記載、ともに不要です。「2社間ファクタリング」という仕組みを使えば売掛先にバレることもありません。

手数料がやや高めですが、融資が使えない場合の迅速な資金調達方法としてぜひ知っておきましょう。

まとめ:赤字決算で融資が通らなければファクタリングを活用しよう

赤字決算でも融資が通るならばそれにチャレンジしてみましょう。しかし、融資が通らないのに申し込むと「融資審査に落ちた」ということが信用情報に記載されてしまいます。

リスクを背負うのは得策ではないと判断された場合、ファクタリングを融資に代わる資金調達の候補として検討してください。

ファクタリングならば赤字決算かどうかは関係なく、売掛金請求書から期日に確実に入金があると判断されれば買い取りされ、現金化できます。

最短即日現金化も可能な手法なので、赤字決算で融資が難しい場合のほか、融資が可能でも時間がかかってしまうのを避けたい場合も、ファクタリングを利用できます。

いざという時の資金調達方法としてファクタリングをこの機会に知っておいてください。

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