運送業者の資金調達にはファクタリングがおすすめ!活用方法も解説
運送業者はその独特なビジネス構造のため、資金繰りが急激に悪化することがあります。自己資金、キャッシュフローがあればよいのですが、もし現預金がない場合、急な資金繰りに対して融資によって補うことが難しくなります。
そうした危機に役立つのがファクタリングによる資金調達です。本稿では運送業独特な資金繰りの悪化理由と、それに対処できるファクタリング活用法について説明いたします。
運送業で資金繰りが苦しくなる原因
運送業はなぜ資金繰り悪化に陥りやすいのか、その理由について整理しておきましょう。業界の構造上、資金繰り悪化はある意味避けられない部分があり、何とかしないといけません。
閑散期と繁忙期の差
運送業は1年の中に閑散期と繁忙期があり、繁閑の差が激しい業種です。引っ越し屋さんを例にするとわかりやすいはずで、年末年始や年度の切り替え時(3月、4月)の需要はすごいのですが、それ以外の時期は仕事がそれほどありません。
しかし、引っ越し屋さんを維持するためには正社員とある程度のアルバイトは必要ですし、トラックは1年通して維持しなければいけません。閑散期にも支払いは発生します。
個人客だけなら支払いサイトはせいぜい1か月ですが、大口顧客の支払いサイトは長く、閑散期に資金ショートが一気に起きてしまう可能性があります。
その場合、資金繰りが一気に悪化してしまいます。
燃料費の高騰
石油、ガソリンなど化石燃料は運送業の「血」であり、いくら高くなっても使わざるを得ません。世界情勢によって原油価格が一気に上昇すれば、運送業の経費が大きく増えます。支払いサイトの不安定さも相まって、一気に資金がショートします。
燃料費を価格に転嫁しづらく、余計に持ち出しが増えてしまいます。これでは資金繰り悪化も当然です。
入金までの期間
特に中小の運送業は大手の下請けをしています。Amazonなどは現在、大手の宅配便(ヤマト、佐川、日本郵政)は少なくなり、「デリバリープロバイダ」と呼ばれる中小の運送業者が担当していることが増えました。
彼らは下請けなので、親会社、発注者、元請けからの運送代金の支払いは約2か月後、支払いサイト60日ということが多いです。
当然、その支払いサイトの60日の間にも固定費が発生します。特に燃料価格の急激な上昇などはいきなりおきます。そうした事態に対して、入金までの期間、サイトが長いことで、一気に支払うための資金がショートしてしまいます。
人件費
運送業はその激務から就職する人が減り、通販などが配達できないという大問題がおきました。仕事内容と給料が見合わないのです。それを解消するため、ここ数年、ドライバーの人件費を大きく上げ、人材確保を図りました。
しかし、人件費の引き上げは経営を圧迫します。なかなか価格に転嫁できないので、人件費の高騰は、特に中小の運送事業者の収益や資金繰りを圧迫します。そうした中で、支払いサイトが長く、従業員へ支払う給料の原資がなくなってしまいます。
急な出費
運送業は突発的な事態が起き、急な出費を求められることがあります。例えば、長距離を移動するため、事故のリスクが高く、事故になった場合。車両の修理代や事故相手への見舞金などが発生します。ある程度保険で補えるものの、それだけでは足りない部分があります。
保険金の支給を待っていては、車の修理に間に合わず、自己資金で応急修理をする、場合によっては車両の買い替えなども必要です。
さらにドライバーがけがをした場合、代わりのドライナーの手配の人件費もかかります。
事故を起こさなくても、車両が故障してしまうリスクはあり、それは予知できません。不意の多額の出費が運送業では起きやすいのです。
運送業にファクタリング活用方法
このように運送業は他の業種と比較しても、突発的な事態によって急な資金需要が起きやすいことがわかりました。急な資金需要には、通常の銀行融資では間に合いません。預貯金などキャッシュフローが潤沢ならそこから充当できますが、運送業は薄利多売で利益率が低い傾向にあるため、なかなか自己資金、キャッシュフローがありません。
そうしたピンチを解決するのがファクタリングです。運送業におけるファクタリング活用法を考えます。
入金サイトの調整
運送業の支払いサイト(運送をしてその代金をもらうまでの期間)は60日、長いもので90日といわれています。
つまり売掛金を回収できるサイトが長いので、上述のようにキャッシュフローがきつくなります。ファクタリングは売掛債権の買い取りなので、入金サイトを大幅に短縮できます。サイトが60日の売掛金を10日目に買い取ってもらい現金化することも可能です。
これにより、本来のサイトを大幅に短縮して現金化が可能になりキャッシュフローが改善します。資金繰りも改善し、不渡りなどのリスクも減ります。
設備投資
運送業に不可欠な車両や機械は高価であり、通常は銀行融資などで資金調達しますが、一時金、頭金などを請求される可能性があります。
融資には時間がかかるため、そうした一時金を用意できない可能性があります。ファクタリングは売掛債権を即時現金化できるので、そうした一時期や頭金など現金を速やかに用意できます。
繁忙期への備え
上述のように運送業は繁忙期、閑散期がはっきりしています。繁忙期には仕事が増え、それだけ突発的な事態が起きる可能性が高くなります。事故や急な支払いが起きた時にキャッシュフローがないと大変なことになります。
ファクタリングによって支払いサイトまで待たず、繁忙期までに現金化することでさまざまなリスクに対応できます。
引っ越しの需要が非常に多くなったときに、臨時のバイトへのバイト代(人件費)や車両の準備などに現金が必要になります。お金がないから仕事を断っては本末転倒です。ある意味、繁忙期の選択肢を広げる意味でも、ファクタリングによってキャッシュフローを増やしておくのは大きな意味があります。
運送業でファクタリング会社を選ぶ方法
ファクタリングを利用する場合、どのファクタリング会社でもよいというわけではありません。ファクタリングは銀行法や貸金業法で規定される「融資」ではないので、参画している会社も玉石混交です。ファクタリングを行うことについて許認可等が厳しくないので、変な会社を選ばないことが大切になります。
手数料
手数料率は2社間ファクタリングの場合10%~20%、3社間ファクタリングの場合、3%~5%が相場だといわれています。
手数料によって利益が減るわけで、当然手数料率が低いファクタリング会社を選んでください。運送業の資金繰りが厳しいことは業界では常識です。したがって、3社間ファクタリングを申し込んでも取引先(親会社、発注者、元請け)も分かってくれる可能性が高いです。
通常、3社間ファクタリングは相手にバレるので避けられがちですが、運送業の場合「お互い様」という面もあり、著しくマイナスにはならないはずです。
また、加入している運送業協会に相談すると、協会が認めるファクタリング会社を紹介してもらえるかもしれません。
買い取り金額
買い取り金額は「売掛金-手数料」なので、手数料が安ければ買い取り金額が増えるのは事実ですが、もう1つ買取率を表す「掛け目(かけめ)」も重視します。
100万円の売掛金があっても、「売掛債権のうちどれだけの部分を買取してもらえるのか」を示す割合の掛け目によって現金化できる範囲が変わります。
売掛債権100万円 手数料5%の場合
① 掛け目 90% 100万円×90%=90万円買い取り対象 手数料 90万円×5%=45,000円
現金化 90万円-4.5万円=85.5万円
② 掛け目70% 100万円×70%=70万円買い取り対象 手数料 70万円×5%=35,000円
現金化 70万円-3.5万円=66.5万円
掛け目を引いた部分、①なら10万円、②なら30万円は当初の売掛金支払い日以降戻ってきますが、買取のタイミングで手にできる現金額は①と②でまったく違います。
ファクタリング会社を選ぶ際には、手数料率だけではなく、買い取り金額に直結する「掛け目」についてもご確認いただき、少しでも掛け目が高い会社を選んでください。
入金までのスピード
入金までのスピードも大切です。融資と同じくらい、あるいは融資に近い期間入金までかかってしまえば、ファクタリングの意味がありません。
即日融資といかないまでも、数日で入金まで可能なファクタリング会社を選んでください。即日融資にこだわると。こちらの足元を見て条件が悪くするケースもあるようです。ある程度余裕を持ったファクタリング契約を考えながら、スピードのある会社を利用してください。
まとめ:運送業の資金調達にはファクタリングがおすすめ
運送業は季節的な要因や、突発的な事故リスクなどもあり、迅速に現金を用意しなければならないケースが他の業種と比べて多いといわれています。
慣習上、入金サイトが長いこともキャッシュフローを悪化させます。資産として「売掛金」があるのに、資本のキャッシュフローがない状況を改善するため、ファクタリングを戦略的に利用しましょう。
上手なファクタリング利用のためには、事前に専門家や複数の業者に相談するなどしてご判断ください。
長期的な資金調達は融資、短期的な資金調達はファクタリング、と使い分けて、臨機応変に対応できる運送業として活躍してください。
この記事へのコメントはありません。